特別方式の遺言
特別方式の遺言は、次のように、病気やその他の事情によって死期が差し迫っている状況にある場合及び伝染病や船舶内のために一般社会から隔絶されている場合に、それぞれの状況に応じて法律の定める方式で遺言をするものです。
これらは遺言者が普通の方式で遺言を行う事が認められるようになってから6ヶ月間生存した場合には遺言の効力はなくなります。
① 死亡危急者遺言(民法976)
病気その他の理由で死亡の危急に迫った者の遺言
具体的には、① 証人3名以上の立会いがあり、② 遺言者がその証人の一人に遺言の趣旨を口授し、③ 遺言の口授を受けた証人がそれを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、④ 各証人が筆記が正確なことを承認した後、証人がこれに署名・押印することが必要です。
なお、遺言の日から20日以内に証人の一人又は利害関係人は家庭裁判所に対して遺言の確認の請求をする必要があります。
② 伝染病隔離者遺言(民法977)
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にある者の遺言
警察官1名及び証人1名以上の立会いをもって遺言書を作ることです。
③ 在船者遺言(民法978)
船舶中の者の遺言
船長又は事務員1人及び証人2名以上の立会いをもって遺言書を作ることです。
④ 船舶遭難者遺言(民法976)
船舶の遭難により死亡の危急に迫った者の遺言
証人2名以上の立会いのもとで口頭で遺言をすることです。証人が、遺言の趣旨を筆記してこれに署名押印をしなければなりませんし、証人の一人又は利害関係人は(期限の制限はありませんが)遅滞なく家庭裁判所に遺言の確認の請求をする必要があります。