弁護士 山田訓敬が、遺産分割の前提問題について解説いたしました。第1回目は、「相続人の範囲」。動画でわかりやすくご説明させていただきました。

以下、動画の文字起こしを行いました。

皆さんこんにちは。あなたの悩み思い出に、弁護士の山田訓敬です。
本日は遺産分割の前提問題についてご説明したいと思います。

ある方が亡くなって、その方の遺産、これを相続人全員で話し合って分ける、あるいは話し合いがつかない場合には、家庭裁判所で調停を起こして調停の中で話し合いをする、あるいはその調停でも話し合いがつかない場合には、裁判官にこういう風に分けなさいって決めてもらう、審判でしたよね。

遺産分割をするにあたっての4つの前提問題

そういう遺産分割をするにあたっての前提問題として、次の4つの例があると言われています。
つまり遺産分割する前の段階で解決しておかなきゃいけない事項ですね。
一つ目が相続人の範囲の問題。
二つ目として遺言書の効力とか解釈の問題。
三つ目として遺産分割協議の効力の問題。
四つ目として遺産の帰属の問題です。
一つ一つご説明していきたいと思います。

相続人の範囲

まず一つ目、相続人の範囲の問題。
遺産分割っていうのは当然ながら共同相続人、相続人全員の協議・同意で遺産をこういうふうに分けましょうという問題になりますから、相続人が誰かっていうのを確定していくのは必要不可欠です。

じゃあ相続人が誰かっていうのは、通常は戸籍を見れば大体分かるんですね。ところが戸籍に載ってない、戸籍の記載が無効になるというようなことがたまにあります。

例えばこういう問題です。婚姻取消・無効とかですね、養子縁組の取消し・無効、あるいは認知、こういった問題がよく見受けられます。
婚姻取消し・無効、これは私も扱ったことは一回ぐらいしかないんですけれども、養子縁組の取消し・無効とか、あるいは認知の問題、これはやっぱり相続絡みでよく問題になる事例だと思います。

先妻とのあいだに子どもがいた場合

どういうことかって言うと、例えば A さんがお亡くなりになったとしましょう。A さんにはB という奥さんがいました。
他方で A さんには B さんの以前に先妻がいらっしゃって、Cさんという子どもさんがいたという場合を考えてください。
そういう場合に A さんの遺産は、先妻との間のお子さんの C さんと、今の奥さんBさんとの共同相続っていうことになります。

婚姻が無効だった場合

ところがA さんとB さんの婚姻が実は無効だったとかいうような場合、例えば亡くなった A さんが、 B さんと結婚するつもりがなかったのに 、Bさんが勝手に A さんと婚姻届出を出してたと、その後 A さんが亡くなったということを考えてください。
そうすると B さんは本当だったら婚姻が無効ですから、配偶者ではありません、ということはAさんは相続人ではないんですね。
そういう場合にCさんが婚姻はおかしいんじゃないか、無効じゃないかって訴えてそれが認められたりする場合には、 C さんだけが相続人になるというような事例になります。
そういう意味で遺産分割の前提問題として解決しておくべきことなんですね。

養子縁組をした場合

あるいは養子縁組、A さんにC さんという子どもさんがいたとして、例えばDさんという方を養子縁組にしたという場合を考えてください。先程の事例とはまた別ですね。AさんにはCさんという子どもさんしかいなかったのが、Dさんという方を養子縁組にしたら、今度はDさんもCさんと、兄弟と同じように相続分があるということになってしまいますので、 B さんと A さんが行った養子縁組が本当に有効かどうか、これも問題になってきます。

戸籍に出てこない隠し子がいた場合

あるいは戸籍に出てこないんだけれども実は隠し子がいて、その方が認知を要求してきた、認知請求してきたという場合に、これが認められたりしたら、その分の相続人が増えるということになりますね。そういう相続人の範囲の問題、これは遺産分割する前提問題として解決しておくべき問題だということになります。

以上、相続人の範囲についてご説明しました 。