遺留分
遺留分とは、被相続人の意思によっても奪うことができない法定相続人が有する相続財産の取り分のことです。
この遺留分を有する者が、遺留分に不足する部分を取り戻すための請求を遺留分減殺請求といいます。
遺留分の割合は法律で決まっています。
なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。
例えば、相続人が母と子供2人(長男、長女)だとして、被相続人である父が長男のみに全ての遺産を相続させると遺言した事例を考えてみましょう。
この場合、長男は4,000万円相当の遺産をすべて取得できます。
しかし、母も長女も遺産の2分の1については遺留分をもっています。
したがって、長女は、その遺産の2分の1に対して法定相続分の4分の1の遺留分を有していることとなります。
そこで、長女は、結局、遺産に対する8分の1相当の取り分を主張することができ、長男に対して、その分を返せと主張することができるのです(遺留分減殺請求)。
もちろん、遺留分を主張しないことも可能ですが、遺留分減殺をしたいと考える遺留分権利者は、遺留分侵害の事実を知ったときから1年以内に権利行使の意思表示をする必要があります。
遺留分を動画でご説明【ヤマベンの動画で知る!身近な法律】
ヤマベンの動画で知る!身近な法律
「遺留分」についてお話させていただきました。ぜひ、ご覧くださいませ。
あなたの悩みを思い出に。弁護士の山田訓敬です。
本日は遺留分についてご説明したいと思います。
まず遺言書がない場合の相続について考えてみたいと思います。
遺言書がない場合の相続
遺言書がない場合で、お父さん・お母さん・長男・長女がいた場合の相続を考えてみましょう。
この場合にお父さんが亡くなったという場合に、お父さんの相続については、法定相続人と言って法律上で相続人は誰になるか、あとどれぐらいの割合になるのか、法定相続ですね、それは決まっております。
この事例でいけば、お母さん、配偶者であるお母さんが1/2、長男・長女が1/4ずつになりますね。
遺言書がある場合の相続
遺言書があった場合を考えてみましょう。
遺言書があった場合、先ほどの事例でお父さんが亡くなりました。
お父さんが亡くなって遺言書を作ってたということを考えてみましょう。
お父さんがすべての遺産を長男に相続させるという遺言書を作っていたとしましょう。そういった場合にはご長男さんに全ての遺産が行きます。それが原則なんですね。長男は1/1、母・長女はゼロということになります。
ただこれに納得できない長女さんが、いやいや遺言書があったとしても、私にも取り分があるわよということが言えるのでしょうか。実はこれは言えるんですね。
遺留分
この場合には長女さんの遺留分は1/8になります。1/8の取り分があるんで、これを私に戻して返してと言うのは長女さんは言えるんです。
この事を遺留分と言います。
遺留分とは被相続人の意思によっても奪うことのできない法定相続人が有する相続財産の取り分のことです。被相続人は先程の事例ではお父さんのことですね。相続される人です。その方がたとえ遺言書を作ってその意思によって相続割合を決めたとしても、相続人が有する相続財産の取り分、これだけは留保しなきゃいけないよという取り分があって、そのことを遺留分と言います。
遺留分を有する人が、遺留分が不足する部分を取り戻すための請求、先ほど長女さんが長男さんに、私の方に戻してよって言ったというところ、そのことを法律上は遺留分減殺請求というのです。
遺留分の割合は法律で決まってます。
遺留分の割合
直系尊属のみが相続人である場合、この場合は相続財産の1/3になります。
これに対して直系卑属のみが相続人である場合とか、 直系卑属と配偶者ですね、先ほどの事例ですね、これが相続人である場合、あるいは直系尊属と配偶者、誰かが亡くなってその妻とあとはおじいちゃんおばあちゃん、その亡くなった方のお父さんお母さん、そういった者が相続人である場合、あるいは配偶者のみ奥さんのみしか相続人がいないと、そういった場合に第三者に遺言で財産を渡していたというような場合には遺留分が認められます。
その場合の割合は相続財産の1/2なんですね。では具体的にちょっと見ていきましょう。
直系尊属のみが相続人である場合の遺留分
例えば直系尊属のみが相続人である場合、この場合は1/3の割合と申し上げましたね。ご長男さん一人息子のご長男さんがいて、お父さんお母さん、家族はこれだけ、この場合にご長男さんが亡くなったとしましょう。そのときご長男さんが全ての遺産、僕の遺産は全部お母さんに相続させるよっていう遺言書を作ってたとしましょう。
この場合にお父さんは遺留分減殺請求はできるんですけども、その割合は遺留分割合1/3なんですね。ですから1/3の相当の財産、それの半分で分けるから1/6ですね、1/6をよこせ戻せという風に言えるんです。
1/3の遺留分割合で、相続人は二人ですから1/2ですね。ということは1/6、これが遺留分減殺請求できるということになってきます。
直系卑属のみが相続人である場合の遺留分
次に直系卑属のみが相続人である場合、この場合は1/2と申し上げたと思いますが、お父さんがいて長男・長女がいる、お父さんだけでお母さんは亡くなってたとしましょう。
この場合にお父さんが死亡して、全ての遺産を長男に相続させます、という風にしてたという場合に、長女さんは長男さんに遺留分減殺請求、遺留分割合は1/2なんですね。
遺留分割合1/2とはどういうことかというと、遺産の中で1/2は遺留分として取っておかなきゃいけないですよってことです。
その1/2の中で相続人の取り分がそれぞれあります、で長男・長女二人相続人がいるので、この方はその1/2、つまり1/2かける1/2の1/4ですね。
これを遺留分としてご長男さんに請求できる、遺留分減殺請求できるということになります。
遺留分というのはこのように難しい部分、ややこしい部分、計算も難しいところがございますので、ぜひ弁護士のような相続の専門家の方にご相談されることをおすすめします。以上で遺留分についてご説明を終わります。